2006年07月23日

まずは紅茶ミュージアム視察

ミュージアムで勉強したいとはいえ、どんなところなんだ??

そこで、お客さんとして一度行ってみることに。

学校の友達と一緒にロンドンブリッジ駅へ。
ガイドブックの地図を片手に、きょろきょろ。

ロンドン塔や、タワーブリッジが見えるテムズ川沿いのおしゃれな道を
抜けると、目的のミュージアムが見えてくる。

遂に、念願の紅茶ミュージアム到着。意外とこじんまり。

中に入ってみる。誰も受付にいない。
でも、すぐにニコニコしたおじさんがやって来る。学生一人3ポンド。

「ごゆっくりどうぞ!」といって、おじさんは忙しそうにまたどこかに行って
しまった。
なにやら、アットホームなミュージアムのよう。

ミュージアムは想像以上に面白かった。お茶の歴史が中国から始まり
色々な展示物と一緒に楽しめる。内容はなかなか詳しい。
日本のコーナーもあった。「○○園」とかかれたハッピまである。

館長ブラマー氏のコレクションであるティーポットもいったいいくつあるのか。
すごい数だ。

世界一大きいティーポットもあり、誰がこのティーポットで紅茶を飲むの?
しかも、取っ手が折れてる。そしてテープで修正してるだけ・・・。
おもしろいぞ、このミュージアム!

そして、ひときわ目を引いたのが、昔のイギリスの社会を風刺した
風刺画だ。紅茶を飲みながら、人々は色々な噂話や面白話しを
楽しんでいたので、よく紅茶を飲むシーンと一緒に描かれている。
紅茶がイギリスの生活に密着していることがよく分かる。

そして、最後はティールームでお茶が楽しめるようになっている。

私は確かアッサムティーを頼んだと思う。

ティーポットには、たっぷり3杯の紅茶が飲めるほど入っていた。
しかも、よく香りと味が出ている。

イギリスに来て以来、初めての紅茶の香りだ。

通常イギリスでは、ティーバックでも味は意外によく出ているが、
香りが出ているのは珍しい。と、いうか、初めてだ。

そして、ここの紅茶は有無を言わさず、ミルクティー。
実は、私はストレート派。 (当時はそうでした)
しかし、ここのミルクティーは日本で飲んでいたものと違う。
ミルクが違うようだ。スッキリとした味で、嫌な後味にならない。

私は、一気にこの紅茶が大好きになった。

やっぱり、ここで紅茶を勉強するんだ!!

ここ以外にはない!

投稿者 happy-tealife : 15:32

道場ヤブリ 「たのもう!!」

ひとまず家に帰り、一晩かけて、ブラマーさんに話す内容を考えた。
失敗するわけにはいかない。


よし!ミュージアムに行って、「働かしてください!」と、言うんだ!

イギリスにせっかく来たのに、紅茶の学校が無いからって帰れる訳がない!

「なおこガンバレ!!」 自分で自分を励ます。


いざ出陣!(心は武士・・・)


ロンドンブリッジ駅からミュージアムまでの15分の道のり。
ブラマーさんに伝えることを、ぶつぶつと独り言をいいながら、一人歩く。
「あ~、ミュージアムが近づいてきた~!おっと、スターバックス発見。」

なぜか、お茶を一杯。

「ふ~、助かった。」(正直な気持ち)

気がついたら2時間経過。

「だめだ、だめだ、行かなきゃ。」

覚悟を決めて、爆発しそうな心臓を押さえながら・・・
遂に、ミュージアムの入り口へ。

「え~い!行っちゃえ!!」 ミュージアムへ踏み込む。

この前もいたおじさんが、やはりやって来た。そしてこの前と同じように、
「こんにちわ。ミュージアム?それともティー?」

そこで、よしだなおこ道場ヤブリ、「スタート!!」

「たのもう!!」

私は、必死。
「ここで働かしてください!紅茶を勉強したいんです!」
・・・ついでに「お給料もいりません!」(あ、勢いで・・・)

おじさんは困った様子で、「ん~、ブラマーさんに聞いてみないと分から
ないけど、今ちょうどお昼ごはんで外出してるんだ。良かったら、帰って
来るまで待ってる?」

私:「はい!もちろん。」

おじさん:「じゃ、お茶いれてあげるからティールームにどうぞ。」

おじさん良い人だね!!

良かった。第一ハードルクリア!

おいしい紅茶を飲んで、ちょっとホッとしたところに、ブラマーさん登場。

180cmは軽く越えていると思われる、長身のいかにも英国紳士と
いった感じのおじ様が、私の目の前にやさしい笑顔と共に現れた。

ブラマーさんだ!!!!

私はその時、必死でブラマーさんに思いをぶつけた。

私が散々話した後で、ゆっくり、そして穏やかに私を落ち着かせるように
ブラマーさんは言った。

「Yes」

「そんなにも紅茶が好きでいるなんて、とっても嬉しいよ。
あなたの都合の良い時にいつでも働いて下さい。あなたの力になりま
しょう。」

そして最後に、「I'll make you big.」

なんと、あなたをビックにしてあげましょう。とおっしゃったのです!

この言葉は、ブラマーさんはもう忘れているかもしれないけれど、
私には今でも勇気の湧き出る言葉となりました。

こうして、私はブラマーさんの周りを、土・日以外毎日うろちょろする事に
決まったのでした。

崖っぷちだった私は、ようやく本来の目的に一歩踏み込むことができた。

投稿者 happy-tealife : 15:30

ミュージアム初日・初仕事!

ついに、初仕事の日がやって来た。私は朝から緊張。

ミュージアムに行くのは語学学校が終わってからの午後2時~6時の
4時間。

ミュージアム館長のブラマーさんはちょっぴり厳しそう。年もかなり
はなれている。みた感じ60代は絶対いっている。
後で分かったことだが、この時ブラマーさんは70歳だった。

とにかく、オフィスに通された私。

秘書として働いているフランス人のアニエスがきさくな笑顔で迎えてく
れた。

オフィスの中は、お世辞でも美しいとは言えない。とにかくお茶関係
の資料であふれかえっていた。その中には日本語の日本茶に関する
本も含まれていた。

私は、まずオフィスの中央にある打ち合わせ用のテーブル席に座る
ように言われた。このテーブルの上も、なにやら紙でいっぱいである。

今日はいったい何をすればいいのだろう。不安な気持ちを隠せない。
英語も今まで語学学校の先生が話していたような英語とは少し違う。
とても、理解しずらい。しかも、ブラマーさんは例え話し好き。

何かを説明したり、冗談を言う時は、なんだか遠回りな表現が・・・。
ん~~。

で、いきなりの仕事の内容に戸惑うことに・・・。

なぜなら、その仕事内容というのが、ブラマーさんの研究の一部を
手伝うというもの。

内容は「ポットの作り方」

ポット?????

ブラマーさんは色々な質問を投げかけてくるが、「分かりません。全く」
と、言うしかない・・・。だって、陶器の作り方なんていままで小学校の
図工以来教わっていないんだもの・・・。

ブラマーさんの横で、ニコニコしてるしかない私。

秘書のアニエスも変な日本人が来たぞ。と、思ったに違いない。

全く使い物にならない私は、ミュージアム内にあるティールームへと連れて
行かれた。

ティールームではポールと言うイギリス人の男性が働いていた。彼は、私が
ミュージアムに来た時にいつも対応してくれた人だ。

そこで、私がティールームでしたこと・・・。

「無・・・」

唯一私がしたことといえば、お客様がミュージアムに入ってきたことを
ポールに知らせることだった。

「ポール、お客様です!」っと、言いたかったのですが、「お客様」が英語で
思いつかず・・・。

「ポール誰かが来たよ~!!」


ん~。我ながら頭が痛い・・・。

前途多難のような気もするが、とりあえずは、始まったのでした。

とにかく、遂に紅茶の本格的な勉強が始まったことに、
ヒシヒシと幸せを感じるナオコだった。

ブラマーさんはちょっぴり難しいけれど、がんばるぞ~!!!

投稿者 happy-tealife : 15:29

ミュージアム2日目のテーマ

今日はお仕事2日目。昨日まったく英語が理解できなかったことに
めげていた私は、今日もまた英語に苦しむことに。

今日のテーマはこれ!!

「ティーバックについて」&「ティーオークションについて」

ん~。

またまた、難題。

ブラマーさんはティーオークションが始まった正確な年を探していた。
たくさんある資料の中から、英語のびっしり書いた紅茶の辞書を
取り出す。

そして、それは2冊で1つの紅茶事典。

そのページをめくる度に眩暈のする私・・・。

二人で手分けしてティーオークションについて調べる。

なかなかの苦難。でも、ちょっと研究者っぽくてそれなりに楽しむ。

結果的に、英語の文がチンプンカンプン。ブラマーさんがすべて
自分で一人でしたに等しい状態だった。

英語を今まで勉強してきたつもりだったが、まったく役に立っていない。
これは、また英語を一からやりなおさなければ・・・。

英語びっしりの本から開放され、私は息抜きを兼ねてティールームへ・・・。

そこで、紅茶の作り方をポールから教わる。

なんという幸せ。ブラマーポットでブラマーティーを入れられる。

しかも、お味は最高!

あ~イギリスへ来て良かった~と、思う瞬間。

そうこうしながら、またブラマーさんのいるオフィスへ。

英語の辞書と格闘しながら4時間・・・。

しかし、ティーオークションの開始された年号を調べるなんて
なんとも楽しい。私までもが、紅茶博士になったような気分になるのだった。

投稿者 happy-tealife : 15:29

本物紅茶への道は遠い・・・

ブラマーミュージアムで働き始めて、1週間。


大分、スタッフ達とも慣れてきた。


そして、毎日3時になると、ブラマーさんはティータイムをする。


ちょっと、仕事の手を止めてゆっくりするのだ。
この辺りが、いかにもイギリス人らしい。


その紅茶を淹れる任務を任せられた!
(まー、他のスタッフに良いようにおだてられているに過ぎないが・・・。)


ブラマーさんは、通常アッサムティーを飲む。
フレーバーティーなどを淹れた日には、全く口も付けてくれない。。


事務所に入った瞬間。「何をいったい淹れてきたのだ?」と、聞かれ、
「・・・キーマン・・・。飲んでみたくて・・・。」
「じゃ、ナオコはキーマンを飲みなさい。私はアッサムを入れてくるから。」
と、いった調子だ。


商品として販売してるのに~~。


紅茶本来の素晴らしい味があるのに、アールグレイや、アップルなど
紅茶以外のフレーバーで、紅茶本来の味や香りを消してしまっているものは、
「クズ」だと思っているのだ。紅茶と認めていないのだ。


そして、もう一つ、別の大きな壁があった。


私の紅茶には、ブラマーさんの求める味が出せていないのだ。


だからと言って、ブラマーさんは、率直に「美味しくないね。」とは言わない。
「ここを、こう直せば良くなるよ。」なんてことも言わない。


ただ、一言、一口飲んだ後、笑顔でこう言う。
「 It is easy to make a bad cap of tea, NAOKO 」
(美味しくない紅茶を作るのは簡単だね。なおこ」


「・・・・・・」


なんと遠まわしな~~。
最初聞いたときは、褒められてるのかと思って、思わず微笑み返すところだった。。


このフレーズを聞かなくなるのは、大分経ってからだった。


でも、このお陰で、「どうしたらブラマーさんと同じ味がでるんだ。。」
と、毎日試行錯誤する事ができ、最終的に、美味しい紅茶が淹れられるように
なったのだった。


それは、大きな自信にも繋がった。


教えてもらうばかりではなく、自ら学ぶという姿勢を
ここで教わったように思う。

投稿者 happy-tealife : 15:28

意外にも紅茶ミュージアムには日本人観光客が多い

紅茶ミュージアムで働いていて、気が付いた事がある。


そう。日本人観光客が多いのだ。


一日、最低でも必ず3組は日本人がやってくる。


一日紅茶レッスンというのも週に一度やっているが、
それはほぼ100%が日本人だ。


たまに、団体アメリカ人の予約が入るぐらいだ。


レッスンは2:00に始まり、ブラマーさんの紅茶文化と歴史のレクチャーを
聞き、ミュージアムを見て周り、紅茶の製造工程のビデオを見て、
その後、紅茶のテイスティングもさせてもらう。


全てのお勉強が終わったら、終了証をもらい、最後はみんなで
アフタヌーンティーをティールームで楽しむ。


すごく盛りだくさんな内容だ。


これは、旅行代理店を通すか、ガイドブックから直接予約すれば誰でも受講できる。


ここで、レクチャーに毎回付き添い、日本語通訳として同席する事になった。


何度も同じレクチャーを受けるのは、予想以上に為になった。


それこそ、ブラマーさんの言っている事全てが聞き取る事が出来るようになった。


ちょっとしたイギリスジョークですら分かるようになっていった。


いつも、「あ、そろそろあのジョークを言うぞ~!」と、思いながら聞いていた。


私は、この頃、英語がペラペラ話せた訳ではないが、ブラマーレクチャーだけは
自信がある!!

それにしても、こうしてみると、日本人がいかに探究心が旺盛で、勉強熱心であるかが
よく分かる。


これほど、異国の文化を学び、知識を深めようという意気込みは、
他の国民には見る事ができないのではないかと思う。

投稿者 happy-tealife : 15:28

お客様との、たくさんの素敵な出会い

このミュージアムで働いていた事によって、
予想外の良いチャンスを得る事が出来た。


それは、色々なお客様との出会いだ。


様々な外国の方とも色々と話す機会もあり、様々な情報を聞く事がでしたし、
ここで出会う日本人も面白い方がたくさんいた。


その時の、ほんの一瞬のご縁で、今でも親しくさせてもらっている人がたくさんいる。


しかも、ちょっと変わった経歴や、仕事の方が多く、
OLをしてたら会えていないタイプの人達だな~と、よく思う。


例えば、お花とテーブルコーディネートを仕事にしている人で、
イギリスにお花の勉強に来ていた人。現在、オランダ在住。とか・・・。


ニュージーランドでワーキングホリデーで働いてたけど、
期間が終わったので、日本に帰る前に、各国を放浪している方。
そして、未だに何のお仕事をしているか分からないが、
滋賀で仙人のように暮らしている人。とか・・・。


関西では結構有名な、紅茶専門店をやっている店主の方で、
フランスの紅茶商のところに行ったついでに、イギリスに立ち寄られた。
一緒に旅をしているのは中国茶専門家で中国人。とか・・・。


世の中には、色々な仕事をしている人がいるものだ~と、考えさせられた。


それが原因だろうか、
今では、周りの人がやった事ない事をやるのに、何の躊躇いもない。

投稿者 happy-tealife : 15:26

ミュージアム内のディスプレーに日本語訳を付ける

ブラマーミュージアムでは、自から動かないと何も始まらない。

決まりも、紅茶を学ぶ為のカリキュラムなど何も無いからだ。


自分がぼんやりしていると、一日がぼんやりと過ぎていく。。


これではいけない!何かしなければ!


ミュージアムにお客様がいないときなどは、非常に暇なので、
とにかくミュージアムの展示物をひとつひとつ丁寧に見ていく。


説明書きの英語を読みながら、ふと・・・
「あ!ここに日本語訳を貼ったら喜ぶかな~?」


しかも、すごく勉強になるぞ!!


日本からパソコンを持って来ていたので、それに打ち込んでいって、
最後プリントアウトすればいいだろう!


う~~ん。いっぱいあるけど、時間もいっぱいあることだし!
頑張るぞ~~!!


それからは、頼まれてもいないのに、たくさん日本語訳を勝手に貼り付けて
いった。


何も言ってこないということは、喜んでいると思っていいだろう。。。


そうして頑張っていたら、レクチャーで使う紙芝居式になっているパネルの
日本語訳版を作ってくれと頼まれ、日本語のパネルを新しく作った。


それが、今でもレクチャーの時には使われている。


ただ、今ブラマーミュージアムで働いていて、私とも交流のある女性が
「直子さん!あのパネルの日本語訳、間違ってるところありますよ~!」


「・・・・。(^^; ごめんなさい。。」

投稿者 happy-tealife : 15:25

スタッフ・ポールおススメのグリーンティーの飲み方

ミュージアムのティールームで、ポールとおしゃべりをしていた。


ポールは、このミュージアムで一番長く働いている、30代後半ぐらいの
男性だ。ロンドン訛りの英語が非常に聞き取りにくいが、
とてもフレンドリーな良い人だ。


そんなポールが
「なおこ、日本は緑茶を飲むんだよね!僕は、美味しい緑茶の飲み方
知ってるよ!」


「え~~!イギリス人が、緑茶?!」


以前、ホストファミリーに緑茶を入れた時の、散々な結果を思い出した。


でも、勇気を出して聞いてみた。「どうやって飲むの?」


「まず、アイスグリーンティーを作るんだ。砂糖で甘味を付けてね!
 そして、レモンを少し絞ると、美味しくなるんだよ~!」


「え~~~!!??」かなり怪しい味になりそうだ・・・。


絶対、イギリス人の味覚はおかしいと、この時確信した。。


しかし、その後、スーパーで買い物しているときに、
まさに、グリーンアイスレモンティーなるものが缶で売られているのを発見した。。


今となっては、あの時の記憶には自信が持てないが、本当に存在したように
記憶している。。

投稿者 happy-tealife : 15:25

秘書アニエス VS ブラマーさん

ブラマーさんは、イギリス人の中でも相当頑固親父だと思われる。

そして、そのブラマーさんの秘書をやっているのが、フランス人のアニエス。


フランス人は意思表示がハッキリしていて、プライドも高い。


この二人はいつも戦っている。


まず、アニエスの名前自体に問題がある。


フランス読みでは「アニエス」。 でも、英語読みでは「アグネス」となる。


ブラマーさんは、決してフランス読みをしない。


常に「アグネス」と、呼ぶ。


アニエスはアニエスで、呼ばれた後に、「だから私の名前はアグネスじゃないのよ!」
と、思いっきり顔に出し、気持ちを表現する。。


平和主義の日本人である私は、最初の頃はハラハラしていた。


しかし、当人同士は文句はありつつも、仕事自体に支障はないようだ。
それが分かってからは、何も気にせず、トバッチリが来たらヘラヘラする事にした。


そうしたら、アニエスに
「ナオコは笑ってばっかりで良い子ちゃんね。
 そりゃ、ブラマーさんのお気に入りにもなるわね!」
と、チクッとやられた。。


確かに、何を言われても、別に腹も立てずに、言われた事は
楽しくやっている私は、アニエスにしたら、意志の無い人に見えた事だろう。


でも、私の場合、紅茶の仕事に携わり、ブラマーさんの傍で働けるという事実が、
何よりも楽しかったのだ。


だから、ブラマーさんが資料の散乱したオフィスで、毎朝「ハサミがない・・。」
だの、「ノリがない・・・」だの言っているのを素直に聞いて、
一緒に探すのは何の苦にもならなかったのだ。


そのうち、ブラマーさんが失くしそうなハサミは、帰り際に自分で覚えておいて、
翌朝、「ハサミがない~。」と言い出したらすぐに出せるようになっていた程だった。


そんな中、アニエスは「呆れたわ~。」と、言わんばかりに肩をすくませて、
私達を置いてオフィスを出て、ポールのいるティールームに行ってしまうのだ。。


しかし、そんなアニエスは、とっても人情の厚い人で、本当に優しくしてもらった。


時々、「アイム アングリー!」と大きな声を出して、私を驚かせるのだが、
実は、フランス人はHの発音が苦手なので、実は
「アイム ハングリー!」と言っていたりするのも、だんだん慣れていった。


フランス人は冷たいという印象があったが、イギリスで友達になった
フランス人は、みんな陽気で温かい優しい人達ばかりだった。

投稿者 happy-tealife : 15:24

別れの時

こんな楽しい充実した日々も、終わりを告げる日がやってきた。


人生の中で、これほど内容の充実した日々を過ごした時間はあっただろうか。


本当に、ここまで来れた事が、嘘のような幸運だったように思う。


もちろん、紅茶に関する知識はまだまだ足りないが、

ブラマー紅茶の味を自分で自信を持って出せるようになった事。


イギリス人と紅茶との関わりを肌で感じる事ができた事。


イギリス人のライフスタイルを学ぶことが出来た事。


イギリスを知って、逆に日本の良いところを学べた事。


貴重な、かけがえの無い物を得た。


そして、これから日本に帰って自分でやってみたい事への期待で一杯だった。


ブラマーさんとお別れするのはとても淋しいが、
それよりも、日本の多くの方に、本当の紅茶の美味しさを伝えていくぞ!
紅茶を広めて、ブラマーさんに喜んでもらうぞ!という気持ちの方が勝っていた。


日本帰国が近づいた頃、ブラマーさんお気に入りの雰囲気の良いレストランで
一緒に二人で食事をした。


港に面して建っているそのこじんまりとしたレストランは、一階が昔ながらの
パブになっている。


そして、その2階は、イギリス料理ではなく、フレンチだった。


アニエスといつも喧嘩しているが、フレンチは好きみたいだ。


その店の帰り道。5階建程の赤茶色のレンガのビルが立ち並ぶ、
暗い道を歩いてロンドンブリッジの駅を目指した。


そのエリアは、昔は紅茶が船で運び込まれ、テムズ川沿岸で下ろされた後、
倉庫に保管されていた、まさにその倉庫街だった。


「ここの倉庫は昔、紅茶と砂糖が保管されていたんだよ。」
などと話してくれながら、道をゆっくり歩いた。


ロンドンブリッジ駅の改札で、淋しくなるよ。と、ぎゅーっとハグをして別れた。


今でも、年に一度イギリス紅茶研修旅行でブラマーさんのところに行くが、
その別れ際にブラマー式ハグとほっぺチューをするのを見て、
生徒さんたちは引いている・・・。(^^;


まー。こんなに可愛がられるほどになるのも、光栄な事だ。


イギリスで紅茶を勉強したいと思って日本を発ち、その後どうなるかと思ったが、
結果的に、ブラマーさんと良い関係を築けた事は、大満足である。


ともかく、私の紅茶探求の旅はひとまず終わる事になる。

投稿者 happy-tealife : 15:24