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別れの時

こんな楽しい充実した日々も、終わりを告げる日がやってきた。


人生の中で、これほど内容の充実した日々を過ごした時間はあっただろうか。


本当に、ここまで来れた事が、嘘のような幸運だったように思う。


もちろん、紅茶に関する知識はまだまだ足りないが、

ブラマー紅茶の味を自分で自信を持って出せるようになった事。


イギリス人と紅茶との関わりを肌で感じる事ができた事。


イギリス人のライフスタイルを学ぶことが出来た事。


イギリスを知って、逆に日本の良いところを学べた事。


貴重な、かけがえの無い物を得た。


そして、これから日本に帰って自分でやってみたい事への期待で一杯だった。


ブラマーさんとお別れするのはとても淋しいが、
それよりも、日本の多くの方に、本当の紅茶の美味しさを伝えていくぞ!
紅茶を広めて、ブラマーさんに喜んでもらうぞ!という気持ちの方が勝っていた。


日本帰国が近づいた頃、ブラマーさんお気に入りの雰囲気の良いレストランで
一緒に二人で食事をした。


港に面して建っているそのこじんまりとしたレストランは、一階が昔ながらの
パブになっている。


そして、その2階は、イギリス料理ではなく、フレンチだった。


アニエスといつも喧嘩しているが、フレンチは好きみたいだ。


その店の帰り道。5階建程の赤茶色のレンガのビルが立ち並ぶ、
暗い道を歩いてロンドンブリッジの駅を目指した。


そのエリアは、昔は紅茶が船で運び込まれ、テムズ川沿岸で下ろされた後、
倉庫に保管されていた、まさにその倉庫街だった。


「ここの倉庫は昔、紅茶と砂糖が保管されていたんだよ。」
などと話してくれながら、道をゆっくり歩いた。


ロンドンブリッジ駅の改札で、淋しくなるよ。と、ぎゅーっとハグをして別れた。


今でも、年に一度イギリス紅茶研修旅行でブラマーさんのところに行くが、
その別れ際にブラマー式ハグとほっぺチューをするのを見て、
生徒さんたちは引いている・・・。(^^;


まー。こんなに可愛がられるほどになるのも、光栄な事だ。


イギリスで紅茶を勉強したいと思って日本を発ち、その後どうなるかと思ったが、
結果的に、ブラマーさんと良い関係を築けた事は、大満足である。


ともかく、私の紅茶探求の旅はひとまず終わる事になる。

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