遂にロンドンに降り立つ!!

ブライトンを出発して2時間30分。

コーチは目的地ロンドンへと到着した。

「プシュ~ッッ」と、ドアが開いて、何の車内放送もないまま
乗客がどんどん降りていく。

私とさくらちゃんも皆に混じってコーチを降りる。

いつもと違うように感じる空気が私達を包んだ・・・。

ロンドンでは私は語学学校の寮に滞在する。
場所も分からないし、爆発寸前の荷物も抱えているので
タクシーで行くことにする。

心なしか、冷たく感じるロンドンの雰囲気の中、タクシーを探し、
いざ学校の寮のあるハイゲートビレッジと言う街へ向かうことに・・・。

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ロンドンの街を抜け、いざハイゲートへ!

ロンドンへ着いたぞ!!

「さぁ、ここから一仕事だ!」

「タクシーを捜さなければ!」

ロンドンのコーチステーションは、なんだか分かり難い・・・。

タクシーを見つけるのにも一苦労だ。

それでもなんとかタクシーを捕まえることができた。

有名なロンドンのタクシーだ!
黒く、レトロな形をした、「コモッ!」としたかわいいタクシーだ。

運転席と客席の間には銃弾も通さない透明の壁で仕切られている。
運転手さんとの会話は車内マイクを通して伝える。

客席は恐ろしいほど広い。

爆発しそうなトランクケースも悠々入る。それどころか、余裕がありすぎて
タクシーがカーブを切るたびにタクシーの中を気ままに動き回るのを
制御するのに一苦労するほどだ。

とりあえず行き先のアドレスを見せて「いざハイゲートへ!」

大都会ロンドンの街を、タクシーが要領良く道を選択しながら走っている。

タクシーから見える景色は、大都会のはずなのに緑がたくさんある。
日本の東京とは、かなり違う。


歩く人も様々だ。

ブライトンではイギリス人ばかりが目に付くが、
ロンドンでは異国の人々で溢れ返っている。

ガイドブックを片手に、不安そうだが、楽しそうな日本人の団体もいた。

私の向かうハイゲートと言う町はロンドンの北部にある。
ガイドブックによると、イギリス人が大半を占める高級住宅街だそうだ。

イギリスでは階級や人種によって住む場所がはっきりと分かれている。

ハイゲートの手前にアーチウェイという場所があるが、
そこは労働者階級の町だ。

一本の道を挟んで、ごっぞり街の雰囲気が変わる。
歩いている人も、まったく変ってしまう。

そんな不思議な光景を目の当たりにしながら、タクシーはどんどん
北上し、ついにハイゲートについた!

確かに、大きな一戸建ての建ち並ぶ静かな住宅街だ。

私がお世話になる学校の寮の場所は、住所しか分からなかった為、
タクシーの運転手さんを四苦八苦させ、同じ道を3往復させる羽目に
なってしまった。

ブライトンから約3時間。

ようやく私の住むFarnival Houseという寮へ到着した。

大きな木々の生い茂る門をくぐると、赤茶色の古めかしいレンガ作りの
5階建ての建物が「で~ん」と建っていた。

あー、ここからロンドンの生活が始まるんだ~。

急に実感が湧いてくる直子だった・・・。

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イギリスの寮ってどんなところ?

遂に寮にたどり着いた!

寮の管理人さんに建物のドアを開けてもらい中に入る。

私も引越しの手伝いをしてくれていた「さくらちゃん」も
さすがに疲れてきた。

管理人さんに部屋の鍵を渡される。

私達は、言葉はなくとも、
お互いに暗黙の了解で心に決めていることがあった。

「部屋に荷物を置いたら、とりあえず「お茶」へ行くぞ!

私の部屋は最上階の5回にあった。

今でも覚えている。512号室だ。

建物の外側は重厚な感じで、歴史を感じるステキな建物だが、
内側はなんとも簡素である。

従業員用のようなエレベーターから降り、味気ない廊下を進み、
味気ない木の扉をいくつか通り抜けて、私の部屋へと
たどり着く。

途中、共同キッチンと、共同トイレ、共同バスがあった。

寮に住むのは生まれて初めてなので、ちょっととまどいながら、
その横を通りすぎた。

なんだか期待が大きかった分。落胆の色を隠せなかった。

それはさくらちゃんも同じだったようだ。

512と書かれたそっけない扉の前に着いた。

さくらちゃんが鍵を開けて、先に部屋に入った。

すると、「直子ちゃん!何かいますっっっ!!!」

「何????!!!!!」

驚いて中に駆け込むと、そこには蜂!!

が、死んでいた・・・・。(^^;

なんとも、感じの悪い寮だ・・・。

私は、蛇よりも何よりも蜂が嫌いだ。

その後、部屋を見渡してみた。

「狭い・・・・。」

「ベットも狭い&ちいさい・・・」

私が日本で広い部屋で過ごしてきたわけではない。

あの部屋はおそらく4,5畳もあったかどうか?と思われる。

正面に窓があって、机が右の壁に向かって置かれていて、
その反対側の左の壁に沿ってベッドが置いてある。

そして、入ってすぐの左横の壁には洗面所があり、
反対側には箪笥のようなワードローブが置いてある。

私は一刻も早くこの部屋から出たい衝動に駆られた。

それはさくらちゃんも同じだったようだ。

二人とも言葉を失い、無言で寮を出た。


「ふー。これからここで住むのか~。」

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ハイゲートの街並み・・・。

これからここでロンドンの生活が始まるのか。気が重くなってきた。
しかし、とりあえずは寮を出て、ハイゲートという街を散策してみる。

寮を出ると、そこは急な下り坂。
街路樹がうっそうと生い茂る緑豊かな閑静な住宅街。

道の両サイドは2階建ての大きなレンガの一軒家が、ゆったりと
した敷地の中に建っていて、均等に並んでいる。

イギリス人は外から部屋が丸見えなのをあまり気にしないのか、
部屋の中が外から丸見えだ。

本がぎっしり詰まったアンティーク書棚のある
趣のある書斎が見える。机の上のランプもステキだ。
きっと、家主は博士に違いない!(勝手な妄想。。。)

おそらく、家の奥には芝生の大きな庭が控えているのだろう。
書斎を通り抜けて、白いテラスが見え、その奥には緑が広がっている。

ブライトンの労働者階級のエリアに住んでいた私にとって、
ここの環境は全く別世界だった。

お高くとまったお金持ちばかりが住んでいたらやだな・・・。


そんな事を考えながら、早、夕方の6時になっていた。

引越しを手伝ってくれたさくらちゃんは、そろそろブライトンに
帰らなくてはならなかった。

イギリスに来て以来、たくさんの時間を一緒に過ごして、
一緒に笑ったり、ホームシックになったりしていたさくらちゃん。

地下鉄のハイゲートの駅まで送りに行った。
何とも言えない不安な気持ちに襲われながら、エスカレーターを
降りていくさくらちゃんを見送った。

「あ~、また一から始まるんだ。。。」

一人の帰り道。取り合えず、明日の朝ご飯を買わなければ・・・。

小さなお店に入り、牛乳と、コーンフレークを手に、レジへ向かう。

黒人の店員さんがいた。

牛乳とコーンフレークを手渡した時、彼は大きな優しい笑顔で
私を見た。

その時の私にとって、天使のような笑顔だった!

何か、救われた気持ちで、あの蜂の死んでいる寮に戻ってきた。

「よし!気持ちを新たに明日から頑張るぞ!!」

「狭い部屋がなんだ!蜂がなんだ!紅茶が近づいたんだ!」

「そうだ!部屋の空気を入れ替えよう!」

上下に開け閉めする窓を、上に勢い良く上げた。

冷たい新鮮な風が部屋に入ってきて、部屋の中の空気が変った。

そこで終われば良かったのだが、窓が自然に閉まってきた・・・。
開けっぱなしにしておきたいのに・・・。くそ~!

なんとか、かんとかで、窓をナナメにして、必死で窓枠に引っ掛け、
開けたままにしようと努力するのだが、これがなかなか・・・。

イギリスの古い家はこれだから・・・。

せっかく上がったテンションが、すっかり下がるのでした・・・。

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寮の不思議な住人達・・・

いよいよ、ロンドンでの生活が本格的に始まった。

引越し翌日に、さっそく語学学校が始まった。

学校は、驚くほどの日本人の数に驚きを隠せない!
ブライトンの倍はいるぞ~!!

クラスの3分の2が日本人。(運悪く、一番日本人の多いクラス・・・)

これで、私の生活は日本人漬けなる危険性が予測されたが、
ここに意外な展開が待っていた。

それは、寮にあった。

なんと、ロンドンにして、日本人の全くいないエリアが存在したのだ!

しかも、メンバーのキャラクターが濃厚なのである・・・。(^^;

お隣さんは、韓国人のおば様。いつもすごい色のピンク色のシャネルの
シャツを着ている・・・。年はおそらく40代・・・。おそらく未婚・・・。
その名も「ヨンジュ」・・・。できすぎだ・・・。
ちなみに、ヨンジュは英語の聞き取りはあまり得意ではないけれど、
とても良い人だ。

お向かいさん&反対隣さんは、スペイン娘3人組。
この3人は、もともと友達で、おそろしく陽気だ!!
夏休みを利用して、1ヶ月の留学に来ていた。

(ヨーロッパの人は夏休み滞在型のケースが多い。)

毎夜10時頃に「ナオコ!パブに行くよ!躍りにいくよ!」と
誘いに来る・・・。一応5回に4回は断る。

そして、毎夜中3時に帰宅しては、彼女達は陽気に「お休み~!」
と、言いながら、勢い良くドアを閉める。
私はいつも起こされることになる・・・。

極めつけは、ロシア人のオルガ。
年は19歳だったと思う。英語は堪能で良くしゃべる。
いつも理解不能なロシアンジョークの話を聞かされるが、
何回、聞いても、何がどうおかしいのか理解できない。
当のオルガは笑い転げながら、これがロシアンジョークなの!と
私の部屋に来ては披露してくれるのだ。

一つを披露してみよう。
どういう意味か知っている人がいたら、是非教えて欲しい。

お母さんがキッチンにいて、子供とお父さんがリビングにいる
設定だ。

子供 「お母さんはどこ?」(シリアスな顔で)
お父さん 「キッチンだよ。」

子供 「お母さんはどこ?」(同じシリアスな顔で)
お父さん「だから、キッチンだってば」

子供 「お母さんはどこ?」(全く同じシリアスな顔で)
お父さん 「だから、お前の為にキッチンで料理をしてるだろ!」

子供 「お母さんはどこ~!!」(怖い顔で叫ぶのです・・・。)

終わり・・・。

これだけで理解しろと言うほうが難しい・・・。

しかも、子供役をする時のオルガの顔が怖いのです・・・。
口をほんの少しだけ動かして、目はすわっているのだから・・・。


この5人+私の6人が同じキッチン・バスルームを共有していたのです。

お陰で、英語漬けの楽しい寮生活の始まりとなったのです。


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