ブラマーミュージアムで働き始めて、1週間。
大分、スタッフ達とも慣れてきた。
そして、毎日3時になると、ブラマーさんはティータイムをする。
ちょっと、仕事の手を止めてゆっくりするのだ。
この辺りが、いかにもイギリス人らしい。
その紅茶を淹れる任務を任せられた!
(まー、他のスタッフに良いようにおだてられているに過ぎないが・・・。)
ブラマーさんは、通常アッサムティーを飲む。
フレーバーティーなどを淹れた日には、全く口も付けてくれない。。
事務所に入った瞬間。「何をいったい淹れてきたのだ?」と、聞かれ、
「・・・キーマン・・・。飲んでみたくて・・・。」
「じゃ、ナオコはキーマンを飲みなさい。私はアッサムを入れてくるから。」
と、いった調子だ。
商品として販売してるのに~~。
紅茶本来の素晴らしい味があるのに、アールグレイや、アップルなど
紅茶以外のフレーバーで、紅茶本来の味や香りを消してしまっているものは、
「クズ」だと思っているのだ。紅茶と認めていないのだ。
そして、もう一つ、別の大きな壁があった。
私の紅茶には、ブラマーさんの求める味が出せていないのだ。
だからと言って、ブラマーさんは、率直に「美味しくないね。」とは言わない。
「ここを、こう直せば良くなるよ。」なんてことも言わない。
ただ、一言、一口飲んだ後、笑顔でこう言う。
「 It is easy to make a bad cap of tea, NAOKO 」
(美味しくない紅茶を作るのは簡単だね。なおこ」
「・・・・・・」
なんと遠まわしな~~。
最初聞いたときは、褒められてるのかと思って、思わず微笑み返すところだった。。
このフレーズを聞かなくなるのは、大分経ってからだった。
でも、このお陰で、「どうしたらブラマーさんと同じ味がでるんだ。。」
と、毎日試行錯誤する事ができ、最終的に、美味しい紅茶が淹れられるように
なったのだった。
それは、大きな自信にも繋がった。
教えてもらうばかりではなく、自ら学ぶという姿勢を
ここで教わったように思う。