ミュージアム初日・初仕事!

ついに、初仕事の日がやって来た。私は朝から緊張。

ミュージアムに行くのは語学学校が終わってからの午後2時~6時の
4時間。

ミュージアム館長のブラマーさんはちょっぴり厳しそう。年もかなり
はなれている。みた感じ60代は絶対いっている。
後で分かったことだが、この時ブラマーさんは70歳だった。

とにかく、オフィスに通された私。

秘書として働いているフランス人のアニエスがきさくな笑顔で迎えてく
れた。

オフィスの中は、お世辞でも美しいとは言えない。とにかくお茶関係
の資料であふれかえっていた。その中には日本語の日本茶に関する
本も含まれていた。

私は、まずオフィスの中央にある打ち合わせ用のテーブル席に座る
ように言われた。このテーブルの上も、なにやら紙でいっぱいである。

今日はいったい何をすればいいのだろう。不安な気持ちを隠せない。
英語も今まで語学学校の先生が話していたような英語とは少し違う。
とても、理解しずらい。しかも、ブラマーさんは例え話し好き。

何かを説明したり、冗談を言う時は、なんだか遠回りな表現が・・・。
ん~~。

で、いきなりの仕事の内容に戸惑うことに・・・。

なぜなら、その仕事内容というのが、ブラマーさんの研究の一部を
手伝うというもの。

内容は「ポットの作り方」

ポット?????

ブラマーさんは色々な質問を投げかけてくるが、「分かりません。全く」
と、言うしかない・・・。だって、陶器の作り方なんていままで小学校の
図工以来教わっていないんだもの・・・。

ブラマーさんの横で、ニコニコしてるしかない私。

秘書のアニエスも変な日本人が来たぞ。と、思ったに違いない。

全く使い物にならない私は、ミュージアム内にあるティールームへと連れて
行かれた。

ティールームではポールと言うイギリス人の男性が働いていた。彼は、私が
ミュージアムに来た時にいつも対応してくれた人だ。

そこで、私がティールームでしたこと・・・。

「無・・・」

唯一私がしたことといえば、お客様がミュージアムに入ってきたことを
ポールに知らせることだった。

「ポール、お客様です!」っと、言いたかったのですが、「お客様」が英語で
思いつかず・・・。

「ポール誰かが来たよ~!!」


ん~。我ながら頭が痛い・・・。

前途多難のような気もするが、とりあえずは、始まったのでした。

とにかく、遂に紅茶の本格的な勉強が始まったことに、
ヒシヒシと幸せを感じるナオコだった。

ブラマーさんはちょっぴり難しいけれど、がんばるぞ~!!!

続きを読む

ミュージアム2日目のテーマ

今日はお仕事2日目。昨日まったく英語が理解できなかったことに
めげていた私は、今日もまた英語に苦しむことに。

今日のテーマはこれ!!

「ティーバックについて」&「ティーオークションについて」

ん~。

またまた、難題。

ブラマーさんはティーオークションが始まった正確な年を探していた。
たくさんある資料の中から、英語のびっしり書いた紅茶の辞書を
取り出す。

そして、それは2冊で1つの紅茶事典。

そのページをめくる度に眩暈のする私・・・。


二人で手分けしてティーオークションについて調べる。

なかなかの苦難。でも、ちょっと研究者っぽくてそれなりに楽しむ。

結果的に、英語の文がチンプンカンプン。ブラマーさんがすべて
自分で一人でしたに等しい状態だった。

英語を今まで勉強してきたつもりだったが、まったく役に立っていない。
これは、また英語を一からやりなおさなければ・・・。

英語びっしりの本から開放され、私は息抜きを兼ねてティールームへ・・・。

そこで、紅茶の作り方をポールから教わる。

なんという幸せ。ブラマーポットでブラマーティーを入れられる。

しかも、お味は最高!

あ~イギリスへ来て良かった~と、思う瞬間。

そうこうしながら、またブラマーさんのいるオフィスへ。

英語の辞書と格闘しながら4時間・・・。

しかし、ティーオークションの開始された年号を調べるなんて
なんとも楽しい。私までもが、紅茶博士になったような気分になるのだった。


続きを読む

本物紅茶への道は遠い・・・

ブラマーミュージアムで働き始めて、1週間。


大分、スタッフ達とも慣れてきた。


そして、毎日3時になると、ブラマーさんはティータイムをする。


ちょっと、仕事の手を止めてゆっくりするのだ。
この辺りが、いかにもイギリス人らしい。


その紅茶を淹れる任務を任せられた!
(まー、他のスタッフに良いようにおだてられているに過ぎないが・・・。)


ブラマーさんは、通常アッサムティーを飲む。
フレーバーティーなどを淹れた日には、全く口も付けてくれない。。


事務所に入った瞬間。「何をいったい淹れてきたのだ?」と、聞かれ、
「・・・キーマン・・・。飲んでみたくて・・・。」
「じゃ、ナオコはキーマンを飲みなさい。私はアッサムを入れてくるから。」
と、いった調子だ。


商品として販売してるのに~~。


紅茶本来の素晴らしい味があるのに、アールグレイや、アップルなど
紅茶以外のフレーバーで、紅茶本来の味や香りを消してしまっているものは、
「クズ」だと思っているのだ。紅茶と認めていないのだ。


そして、もう一つ、別の大きな壁があった。


私の紅茶には、ブラマーさんの求める味が出せていないのだ。


だからと言って、ブラマーさんは、率直に「美味しくないね。」とは言わない。
「ここを、こう直せば良くなるよ。」なんてことも言わない。


ただ、一言、一口飲んだ後、笑顔でこう言う。
「 It is easy to make a bad cap of tea, NAOKO 」
(美味しくない紅茶を作るのは簡単だね。なおこ」


「・・・・・・」


なんと遠まわしな~~。
最初聞いたときは、褒められてるのかと思って、思わず微笑み返すところだった。。


このフレーズを聞かなくなるのは、大分経ってからだった。


でも、このお陰で、「どうしたらブラマーさんと同じ味がでるんだ。。」
と、毎日試行錯誤する事ができ、最終的に、美味しい紅茶が淹れられるように
なったのだった。


それは、大きな自信にも繋がった。


教えてもらうばかりではなく、自ら学ぶという姿勢を
ここで教わったように思う。
続きを読む

意外にも紅茶ミュージアムには日本人観光客が多い

紅茶ミュージアムで働いていて、気が付いた事がある。


そう。日本人観光客が多いのだ。


一日、最低でも必ず3組は日本人がやってくる。


一日紅茶レッスンというのも週に一度やっているが、
それはほぼ100%が日本人だ。


たまに、団体アメリカ人の予約が入るぐらいだ。


レッスンは2:00に始まり、ブラマーさんの紅茶文化と歴史のレクチャーを
聞き、ミュージアムを見て周り、紅茶の製造工程のビデオを見て、
その後、紅茶のテイスティングもさせてもらう。


全てのお勉強が終わったら、終了証をもらい、最後はみんなで
アフタヌーンティーをティールームで楽しむ。


すごく盛りだくさんな内容だ。


これは、旅行代理店を通すか、ガイドブックから直接予約すれば誰でも受講できる。


ここで、レクチャーに毎回付き添い、日本語通訳として同席する事になった。


何度も同じレクチャーを受けるのは、予想以上に為になった。


それこそ、ブラマーさんの言っている事全てが聞き取る事が出来るようになった。


ちょっとしたイギリスジョークですら分かるようになっていった。


いつも、「あ、そろそろあのジョークを言うぞ~!」と、思いながら聞いていた。


私は、この頃、英語がペラペラ話せた訳ではないが、ブラマーレクチャーだけは
自信がある!!

それにしても、こうしてみると、日本人がいかに探究心が旺盛で、勉強熱心であるかが
よく分かる。


これほど、異国の文化を学び、知識を深めようという意気込みは、
他の国民には見る事ができないのではないかと思う。

続きを読む

お客様との、たくさんの素敵な出会い

このミュージアムで働いていた事によって、
予想外の良いチャンスを得る事が出来た。


それは、色々なお客様との出会いだ。


様々な外国の方とも色々と話す機会もあり、様々な情報を聞く事がでしたし、
ここで出会う日本人も面白い方がたくさんいた。


その時の、ほんの一瞬のご縁で、今でも親しくさせてもらっている人がたくさんいる。


しかも、ちょっと変わった経歴や、仕事の方が多く、
OLをしてたら会えていないタイプの人達だな~と、よく思う。


例えば、お花とテーブルコーディネートを仕事にしている人で、
イギリスにお花の勉強に来ていた人。現在、オランダ在住。とか・・・。


ニュージーランドでワーキングホリデーで働いてたけど、
期間が終わったので、日本に帰る前に、各国を放浪している方。
そして、未だに何のお仕事をしているか分からないが、
滋賀で仙人のように暮らしている人。とか・・・。


関西では結構有名な、紅茶専門店をやっている店主の方で、
フランスの紅茶商のところに行ったついでに、イギリスに立ち寄られた。
一緒に旅をしているのは中国茶専門家で中国人。とか・・・。


世の中には、色々な仕事をしている人がいるものだ~と、考えさせられた。


それが原因だろうか、
今では、周りの人がやった事ない事をやるのに、何の躊躇いもない。

続きを読む